オンリーワン研究会とは
産官学の情報
会員企業一覧
相談窓口
リンクページ
 
 | 大阪府中小企業経営革新支援法  | 中小企業創造活動促進法 | 民間VB助成金 |
 | 特集 |
 特集
へもどる  ページへ

ブームに終わらせない産学連携の定着を
〜取り組みの前提は企業の自立
深堀 謙二氏 (財)大阪市立大学後援会産学連携推進室事業推進課長

 深堀氏が在籍されている「大阪市立大学後援会」は、よく同窓会と間違われるそうですが、産学連携推進室は大阪市大における産学連携担当窓口です。杉本町キャンパス内の大阪市大インキュベータに、同友会とも関わりの強い深堀氏を訪ね、同大学の産学連携に関する取り組みをお聞きました。


大阪市大における産学連携の取り組み

 大阪市大では、平成三年度から受託研究を試行し、五年度から本格実施しています。平成十四年度実績は一二一件、二億一九〇〇万円でした。また、大学HP上に「産学官連携データベース」を整備し、各種相談にも応じています。私が在籍する産学連携推進室は、大阪市大に関する統一的な相談窓口になっています。担当は、元工学部長と元工学部事務長の2人で、基本的には元工学部長が依頼者と教員を繋いでいます。平成十四年度の相談件数は一四五件でした。

 平成十三年に(財)大阪産業振興機構の一事業部として「大阪TLO大阪市大事業部門」が設立されました。このTLOとは、技術移転機関のことです。平成十年に施行された「大学等技術移転促進法」によってTLOの設立ラッシュが起きています。大阪では主要八大学に事業部が設置されており、大阪市大にはコーディネータ三名(すべてOB)が配置されています。

 理科系教員の研究成果について、受講者を絞って解説する「産学連携フォーラム」を、偶数月に駅前第二ビル六Fの大阪市大文化交流センターで開催しています。また、奇数月には工学研究科の研究成果をテーマ別に披露する「オープン・ラボラトリー」を大阪産業創造館で開催しています。


全国に先駆けてキャンパス・インキュベータをオープン

 平成十四年十月末に、「キャンパス・インキュベータ」がオープンしました。大学教員の保有技術をベースとして、起業や新規事業の育成・支援を目指しています。十二室を用意していますが、現在、中小企業や個人(市大教員OB、市大大学院生)および大企業の事業部が入居しています。二十四時間三百六十五日利用可能で、賃料は一平方メートル当たり三千円です。共同研究室も無料で使用できます。特色は、理科系教員による協力教員制を採用していることです。なお、専任コーディネータも配置しています。現在は満室ですが、いつでも入居予約を受け付けております。

 平成十二年から工学部で「ベンチャー技術論」を開講しています。対象は工学部三回生が中心ですが、他学部からの受講も認めています。講師には同友会会員の協力を得ており、これまでに樋口伸一氏、中農康久氏、岡田全啓氏、横川純一氏、細川信義氏、柴田政明氏、麻生義継氏に講義を行っていただきました。今後も、同友会会員の実践に学ぶ方針ですので、引き続きご協力をお願いします。

 他の取り組みとして、本年六月に「新産業創生研究センター」準備室を開設し、医学部のある阿倍野キャンパスで、予防医療などをテーマとする大型研究プロジェクトを推進する予定です。また、本年四月より、駅前第二ビル六Fで社会人大学院「創造都市研究科」を開講しました。理工学部教員有志四十名で組織する「ナノサイエンス・ナノテクノロジーフォーラム」も、学外者を交えた研究会を開催したり、インテックス大阪での展示会に出展するなど積極的な取組みを行っています。

 以上が、市立大学の産学連携の取り組みの概要です。


産学連携成功のポイント

周知のとおり、いま国や地方自治体等では、産学連携型支援策が急増しています。私は、「産学官連携ブーム」「ベンチャー支援ブーム」「大学発ベンチャーブーム」が同時進行していると見ていますが、一日も早くブームを脱して「定着」して欲しいと念願しています。これまで長い間、大学は「未利用資源」でしたが、入学者の減少や、国立大学の独立法人化等、大学を取り巻く環境が様変わりしていることもあって、大学自身が生き残りを賭けて様々なことに取り組まざるを得ない状況にあります。これまで、大学は大手企業との関係が強かったのですが、現在は、広く中小企業や個人の方々にも門戸を開放しています。ただ、中小企業と大学では、文化風土が違っているので、ミスマッチを生み出している例も少なくありません。私は、産学連携を円滑に進めるポイントとして、次のようなことに留意すべきと考えています。

<1>企業の自立が先決
教員は、その分野の専門家ではありますが、中小企業経営の専門家は経営者自身です。産学連携で生み出す事業のリスクは、あくまでも自分が負うことを常に忘れず、企業が自立することが前提です。事業遂行に当たって必要な知識を得るための支援者が、たまたま大学であったというぐらいの気構えで臨んだ方が良いと思います。産学連携に過大な期待をかけると、「期待外れ」に終わることになりかねません。

<2>技術よりもマーケティング重視
特に、中小製造業に多く見られるのですが、技術に自信があったり、ものづくりの魅力に経営者自身がとらわれ過ぎて、「売れない製品」づくりに没頭してしまうことがあります。非常に難しいことですが、つくった商品を売る方法を考えるよりも、売れる商品をつくることが重要です。産学連携で開発すれば、商売としても成功するだろうと思うのは幻想と心得るべきでしょう。

<3>大学との温度差を受容
企業と大学とは、もともと全く違った思考と文化を持つものです。研究レベルについては、押しなべて大学は基礎研究寄りですが、企業は実用化を指向します。また、研究成果についても、教員は早く学会で発表したいと思いますが、企業の方は、早急に特許出願することはもとより、事業化にウエイトをおくために非公開のままにしておきたいと考えます。いくら特許出願をしていても、公開には慎重にならざるを得ないわけです。その他、レンタルラボやキャンパス・インキュベータ等についても、コーディネータを通じた専門的なサービスがなければ、単なる「部屋貸し」に過ぎないので、よく支援実態を見極めることが大切です。

最後に、成功例として長野県坂城(さかき)町の事例をお聞きしました。もともと養蚕やりんご農園を経営していた人々が、事業転換を進めるために、各地の大学や海外にまで出向いて情報を集める努力をされた結果、ハイテク部品産業に転換し、世界に冠たる「ハイテクタウン」が実現したそうです。我々大阪の企業家も、自ら情報収集する習性を持ち続ける姿勢を学びたいものです。そのことが、産学連携が一過性のブームに終わらずに定着する鍵になるとの指摘をいただきました。

▼大阪市立大学産学連携室
 http://rdbsv01.ipc.media.osaka-cu.ac.jp/ocu/search/japanese/s-index.html



Copyright(c)2005The only one group All rights reserved.